「穂乃果の瞳は綺麗ですね…」
「?」
穂乃果は自身の瞳を突然褒めた人物に、その瞳を向けると、穂乃果の目前に居た海未ちゃんと目が合った。
「ありがとう、海未ちゃん」
素直にお礼を述べます。
「本当に、綺麗です」
でも、私の瞳を見つめる海未ちゃんにはどうやら聞こえてなかったみたいです。
不思議な気持ち。
海未ちゃんは今、穂乃果の事を穴が空くほど凝視しているのに。
実際には穂乃果じゃなくて「穂乃果の瞳」を見ているだけなんだ。
その事に、なんだか嬉しいような複雑なような、そんなモヤモヤとした心情になってしまいます。
(穂乃果の事も見て欲しいのになぁ)
「どうかしたのですか、穂乃果?」
「え?」
突然穂乃果の事を見てきたので、少しびっくりしちゃいました。
「どこか不機嫌そうな様子ですが、何かしてしまいましたか?」
「ううん、なんでもないよ」
どうやら、表情に出てしまっていたようで海未ちゃんに心配されてしまいました。
…いえ。
正確には、瞳に出てしまっていたんですね。
海未ちゃんは、穂乃果限定で瞳を見て喜怒哀楽や、だいたいの心情を察知しちゃうのです。
穂乃果限定…ふふっ。
言い響きだよね♪
「そうですか、なら良いのですが」
「何かあったのなら、言って下さいね」
「うん」
海未ちゃんが穂乃果に向ける優しい瞳は、心が高鳴る感覚を味わえます。
「穂乃果、一つ良いですか?」
「なに、海未ちゃん?//」
顔を近づけてきた海未ちゃん、それに問う言葉を穂乃果は発したけど…。
実は、穂乃果には海未ちゃんが次にどんな台詞を話すのかだいたいの予想がついています。
「瞳、舐めても良いですか?」
やっぱり。
私の予想は大正解の花丸でした。
海未ちゃんが私の瞳を褒めた後にお願いをしてくる時は、100%この要求をしてきます。
「でも、昨日も舐めたよね?」
「それに…」
「私は穂乃果の一部である瞳が舐めたいのです」
海未ちゃんは、毎日穂乃果の瞳を舐めます。
少し微妙な反応をして見せるも、そんなこと海未ちゃんには通用しないのは当たり前。
それどころか、今の海未ちゃんの言葉に穂乃果は嬉しくなってしまうのです。
『穂乃果の一部である瞳が舐めたい』
目的である瞳に、穂乃果の一部である事が重要とされていることに、心臓がドキリと動きます。
「わかったよ海未ちゃん」
「舐めて」
結局、こうして今日も海未ちゃんに手玉にとられてしまうのでした。
「ありがとうございます、穂乃果」
「…では」スッ
「失礼しますね?」ササヤキ
「うん、どうぞ//」
ペロッ
「んっ///」
レロッ
ペロッ
「んぅ///」
穂乃果の了承を得た海未ちゃんは、扇情的な舌を晒し、瞳を撫で出しました。
海未ちゃんの瞳が、今露出している眼球をまんべんなく、優しく撫でていきます。
(海未ちゃんの舌の感触が敏感に伝わってくる、あったかい///)
眼球を滑る舌は、糸状乳頭のザラザラが穂乃果の痛覚を刺激し、海未ちゃんから生成される唾液は潤滑油のように動きを滑らかに、舌の体温と唾液のほんのりとした温かさが穂乃果の瞳をほぐしてくれます。
「あっ///」
「んっ、はぁ…」ペロッレロッ
「んぁ…」レロッ
「海未ちゃん///」
優しい。
全てが。
優しく肩に置かれた両手。
穂乃果の瞳を貪るように、優しく滑る舌。
あったかくて、キモチヨクテ。
(///)
今、全てが穂乃果にとって高揚を与えてくれます。
「穂乃果の空のような瞳、とても良いですよ」
舐めてる最中も、海未ちゃんはこうやって穂乃果の事を褒めてくれて。
また、顔を赤くしてしまいます。
「ンッ チュパ レロッ」
「…///」
「…」
「穂乃果」スッ
「海未ちゃん?」
海未ちゃんが舐める舌の動きを止め、穂乃果と瞳を合わせました。
「穂乃果、また昨日夜更かししましたね?」
「えっ、そんなことわぁ~…」メソラシ
「穂乃果、人が質問しているのに目を反らさないでください」
「…」
「夜更かし、したんですね?」
「…はい、しました」
海未ちゃんが、穂乃果にいつもの注意をする時の目をしてきます。
穂乃果が好きな表情の一つです♪
「全く、私達はアイドルなのですから体調管理はちゃんとしなさいとあれほど…」クドクド
なんと海未ちゃんは、瞳を舐めることで相手の体調を把握することが出来ちゃうのです!
凄いけど、これはちょっとした夜更かし等もバレてしまうので少し嫌かも。
「穂乃果、聞いていますか?」
「えっ?!」
「あ、うん聞いてるよ!」
ハッと意識を戻すと、海未ちゃんがまた怪訝気な瞳で穂乃果を見ていました。
「本当ですか?」
「…まぁ、良いです」
「あはは…」
「それでは続き、いきますね」
何事もないかのように、続きを始めようとする海未ちゃんはまたさっきの扇情的な舌をさらけ出し、ゆっくりと穂乃果の瞳に触れました。
フニッ
「あっ///」
「んっ」フニッフニッ
「んぅ///」
穂乃果の眼球と接触した海未ちゃんの舌は、先ほどとは違い撫でるのではなく舌先でツンツンとつついてきます。
舐めて、味、ツルツルとした眼球の感触をしった舌は、今度はその弾力を確かめたいようです。
優しく、痛くないよう、むしろキモチヨク。
「んくっ」チロチロ
「あぅっ///クスグッタイ」
勿論フニフニするだけでなく、海未ちゃんは時折瞳孔辺りをチロチロとくすぐり、違う刺激を交えてくれます。
「海未ちゃん…それ好き///」
「ふふっ、そうれふか」チロチロ
「アハッ アァ///」
「ひもちよはほうれふね(気持ち良さそうですね)」チロチロツンツン
穂乃果、海未ちゃんがしてくれるこのチロチロ舌を動かす動作が大好きです。
触れている面積が少なく、激しい動きをする舌の感触に、全身がピクピクとしてしまう程のくすぐったく心地よい感覚が走るからです。
海未ちゃんも穂乃果がこれを好きなことを知っているので、いつも沢山してくれます♪
「ア゛ッンゥ ///」
「んー、穂乃果…」ササヤキ
「今貴女、とっても良い表情をしていますよ///」
「だらしなくて、素敵…」
「ウミチャン///」
いつもはだらしないと注意してくる海未ちゃんですが、これをしている時だけはだらしない穂乃果を喜んでくれます。
その表情がまた、タマラナイ。
・
「んっ…ぷはっ」
「…///」
「ふぅ、良いお味でした」
その後もずーっと穂乃果は海未ちゃんに瞳を舐めつくされ、ようやく満足したのか動きを止めます。
舐めつくし、つつきつくした海未ちゃんの表情はきっと。
いつもの日常生活はおろか、アイドルをやっている時ですら見せない。
海未ちゃんの顔はとても満足気で清々しい笑顔になっています!
(この顔は、穂乃果だけが知ってる♪)
そう、この世界で穂乃果だけが知っている顔。
優越感で溶けそうです。
「お粗末様でした、海未ちゃん」ニコリ
「えぇ、ありがとうございます穂乃果」チュッ
「えへへ//」
終わった後に必ずお礼としてしてくれるこのキスも、穂乃果すっごく大好きです♪
「うーむ、それにしても」
「?」
「やはり穂乃果の瞳は最高で、このままくりぬいて持って帰りたいところです」
そう言うと海未ちゃんは微笑みを浮かべたまま、穂乃果の瞳を指でつつきました。
さっきのあれで敏感になっている瞳が触られて、体が勝手にピクピクと震えます。
「く、くりぬくのは流石にダメだよ!!」
「そうなのですか?」
「そうだよー」
だって。
海未ちゃん。
この間、穂乃果の左目あげたでしょ?
「あぁ、そうでしたね」
「もう一個無くなっちゃったら何も見えなくなっちゃうよー」
そう、穂乃果は眼帯をしているのだけど、それはこの間海未ちゃんに穂乃果の左目をプレゼントしたから。
でも、どうしてもって言うからくりぬくのは海未ちゃんにやってもらいました。
「穂乃果の左目は、大切に保管していますよ♪」
「そうなの?」
「えぇ、昔から水晶等を綺麗だったので集めたりしていたのですが」
「穂乃果の瞳は一番素敵で、私の最重要コレクションですよ」
「そ、そうなんだ!///」
(海未ちゃんが、穂乃果の目をそんな大切に…)
(凄く、嬉しい///)
気持ちが高まって、このまま右目もあげちゃいそう。
いやいや、流石に駄目だよね。
「でも、そろそろ穂乃果も、海未ちゃんの瞳欲しいなぁ…」
「私のですか?」
「そう」ウナヅキ
「うーん……すみません」
「もう少し、待ってもらえますか?」
「またー?」
「すみません…」
穂乃果が海未ちゃんの返しに頬を膨らませると、困ったように、けれど優しい顔で謝りました。
「お詫びと言ってはあれですが…」
「ん?」
「これを、穂乃果に」スッ
「わぁ、これって」
海未ちゃんは、穂乃果を慰める為にガサゴソとカバンからある物を取り出してきました。
それは、誰かの瞳。
トパーズ色に輝くそれは、少し明るいけれど海未ちゃんの瞳と良く似ています。
「キレイー」
「喜んでもらえて、嬉しいです」
せめて、それを私の瞳の代わりにして頂けると幸いです。と付け加え、海未ちゃんは優しく穂乃果の頭を撫でました。
「ありがとう、海未ちゃん!」
「大事にするね♪」
「ふふっ、どういたしまして」
きっとその瞳も、喜んでいますよ♪
「…///」スリスリ
海未ちゃん本人のではないけれど。
海未ちゃんのにそっくりな、キレイな瞳。
海未ちゃんがくれたプレゼント。
また一つ、海未ちゃんからの宝物が、増えたのでした♪
終